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あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
レビュー・感想・紹介
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プーチンPとは、VOCALOIDを用いてストーリー仕立ての楽曲群を制作し、ニコニコ動画で発表している方。

プーチンPの表現手法には感嘆せざるを得ない。
音楽に載せ、歌詞によってストーリーを展開させるという手法は決してめずらしいものではないが、それに加えVOCALOIDのキャラクター性や普通はネタとしか扱われない音素材のガチ利用によって物語に豊かな想像力と奥深さを与えている。
ドナルドブームは過去のこととなってしまったが、ガチ利用を続けるこの作品においては豊かに生き続けている。
また、「プーチン」を初めとした政治性を匂わせる正体不明の存在、「事件」という二文字など、散りばめられるキーワードもいちいち興味をそそる。
フィクションである以上、作者自身も言及するように現実のプーチンとはもちろん無関係だが、写真が一枚登場するだけでキャラクターとしての台詞もないにもかかわらず、多くの登場人物に強い影響を及ぼしている彼の存在感には不穏なものを感じずにはいられない。
冷戦対立構造を彷彿させる政治的謀略のなかでの登場人物たちの密かな恋愛模様が切なすぎる。
AMVにも似た「情報の制限」を実に巧みに表現として利用している顕著な例といえるだろう。
この作品群がいわば「本編」なのだがら、すごいことですよこれは。

楽曲のクオリティ自体も非常に高い。
伏線だらけで(悪く言えばわかりにくい)複雑なシナリオ構成も、美しい楽曲があればこそ許される。
新作が発表されるたびに興味をそそられる。オススメ。
クライマックスは近いようだがはてさて……?


あと、プーチンPの影響でロシアに魅力を感じるようになった。あとフォーサイスの『イコン』。
政情の不安定な感じや、めっちゃ寒いのとか、帝政時代の建築とか好き。

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突然ですが『エルフェンリート』の話をします。

この作品に関して、僕の評価としては「AMVになるために生まれてきた作品」といったところ。
(というのも、上で紹介するAMVが素晴らしすぎるため)
本編も好きではあるけれど、良作ではあるが名作ではない位置づけ。
部分のテキストはすごく好きなんだけどね。「ドジッ娘がそのドジゆえに死ぬ」とか「パパがナナを捨てても~」(原作)とか。
全体としてのテーマ設定やストーリー、あるいは細かいところが気になるためB級の域は出ない。
(ミトコンドリアイブの説明を見事に勘違いしているあたりとか)

ただ、すでに多くの人が言ってることではあるけれど、この作品の最大の特徴はやはり「萌え」と「暴力」の同居にある。
ゆえに、映像的に非常に映える。
可愛らしい女の子の表情が出たと思ったら次のシーンでは血が噴き出してる。
その振れ幅が大きいから、視聴者の感情も大きく揺れ動かされ、ドラマ性を獲得している。
逆にいえば、ただそれだけの作品ではあったかな(´・ω・`)
しかし、あれほどまで萌え萌えしい感じを出しながら、同時に極端なまでのヴァイオレンスを描くのはホントにすごい。
作者がどっちも好き(?)でなければ、そうそうできないことだと思う。
あとは、坂東さんや蔵間室長などのイケメンキャラが立っている点も評価が高い。

AMVは、台詞や細かい状況説明などの情報が省かれ、かつ名場面が好んで選ばれ、効果的にテンポよく画面が切り替わるために本編以上に強く感情を揺さぶる。アンパンマンなんかもそう。
各々の理想化されたイメージが引き出されるためだろう。
(ヒットソングの歌詞が抽象的なのもこのため)
本編で泣いた作品ってあんまりないけど、こういう動画だと「うるっ」と来ちゃう。
この効果を本編に逆輸入できないかと考えているけれど、単なる「説明不足」になりそうだなあ。

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レムの「架空の書評集」という奇妙な一冊。
存在しない本についてのレビューをまとめてある。
内容としては、現実に書くことが不可能な小説や、「むしろお前これ書けよw」といった小説のアイデアなどが含まれている。
ちなみに一つめのレビューが『完全な真空』、つまりこの本自体のレビューが書かれる。
それが序文の代わりになっているというわけだ。
(「序文でレム氏はこう書いています」などとあるが、その序文は存在しない)

「架空の書評集」というアイデアはレム独自のものではないようだが、読んでいろいろもったいないなあという気がした。
レビューというなら、褒めるだけでなく貶したり批判したりといった側面もあるはずだ。
だが、基本的には架空の書を絶賛する形をとっている。
あるいは、それぞれのレビューに関係性を持たせたり。
たとえば、『完全な真空』で紹介される「ロビンソン物語」と「親衛隊少将ルイ16世」は話の内容が類似している。よって、両者を比較したレビューというものがあり得たはずだ。
また、レビューを書いている人間も空想の人物であるが、これも良識を持った人間ばかりではなく、明らかに歪んだ観点から作品を論じているものなども見てみたかった。
他にも、商業的意図で書かれた絶賛レビューのパロディとか。
一つの本についての複数人のレビューも見たかった(amazonレビューみたいな)。

しかし、そういった思いは最後の「新しい宇宙創造論」で打ち消される。
他のものとして、「とどのつまりは何も無し」や「ギガメシュ」は面白かったけど、「新しい宇宙創造論」の面白さは段違いであり、レムはこれが書きたいがために「架空の書評集」などをでっち上げたのではないかと思えるほどだ。
つまり、それ以外はページ埋めに過ぎない。
そして、哲学者が書き、物理学者が発見したという設定を持つ「新しい宇宙創造論」は、架空の書評という形式だからこそ書きえた。

概略としては、宇宙創造についてはまず二つの立場がある。
「誰か(たとえば神)がこの宇宙をつくったとするもの」
「誰かがつくったわけではなく独りでに生まれたとするもの」
前者が宗教であり、後者が科学の立場である。

だが、「新しい宇宙創造論」はそのどちらでもない。
誰かがつくったというわけではないが、宇宙には仕掛け人がいる。
太陽系の年齢は50億年、宇宙は138億年。
つまり、太陽系が生まれるまで90億年近いブランクがある。
太陽系はこの宇宙における「最初の世代」ではない。
そして、もし「最初の世代」の文明が現在も続いているなら、実に数十億年もの歴史を意味する。
それほど長く続いた文明ならば、もはや我々の想像など到底及ばないほどの技術が発達しているだろう。
そう、宇宙の物理法則そのものを自在に操るほどに。
慣性の法則、光速度不変の原理、万有引力。
すべては絶対的な法則ではなく、初期世代の文明が改変した結果を我々は観測しているのであり、現在も宇宙の法則は改変され続けている。
要はこういったアイデアだ。
似たようなアイデアはソウヤーの『スタープレックス』でも見られたが、スケールがまるで違う。
SFならともかく、このような論を大真面目に発表したら狂人と断ぜられる他ない。
そして、実際にそのように扱われた。
しかも発表者は宇宙物理学者ではなく哲学者だったから。
具体的な反論と再反論は本書にあるので省くが、これは十分にあり得そうな話であり、非常に興味深い。
『ソラリス』でもそうだったが、やはりレムのアイデアには驚かされる。

完全な真空 (文学の冒険シリーズ)

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以下、ネタバレ前提でレビューします。
ちなみに伊坂幸太郎の『魔王』のことです。
(同タイトルの作品が多すぎるw)

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~あらすじ~
系外探査を目的として開発された無人探査機SP3。
これに人間を乗せることはできないか?
今さら有人宇宙船への設計仕様の変更はできない。
ならばどうする? そう、わざわざ「成人」を乗せる必要はない。
人類の遺伝情報とその発生装置を積み、人類が生存可能な環境を持つ惑星を見つけたら、その場で人類を発生させればよいのだ。
その提案はただちに承認され、〈クワン・イン〉と名を変え飛び立った。

それから35年後。
アルファ・ケンタウリに到着した〈クワン・イン〉より地球へ連絡が入る。計画は成功した。
ただちに地球上の各勢力は恒星間移民船の建造に着手。
その惑星は〈ケイロン〉と名付けられた。
新秩序アメリカはいち早く〈メイフラワー2世〉を出航させ、ケイロンへ向かった。
約3万人を収容できる巨大宇宙船のなかで20年の歳月を過ごし、ついに到達。
そこで彼らが出会ったのは異形の文明社会だった……

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プロフィール
HN:
饗庭淵
性別:
男性
自己紹介:
読みは「あえばふち」だよ!
SFが好きです。
公開中のゲーム作品
ロリ巨乳の里にて
パイズリセックスRPG。

幽獄の14日間
リソース管理型脱出RPG。

カリスは影差す迷宮で
仲間を弱らせて殺す遺跡探索RPG。

黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない
探索ホラー風セクハラゲーム。

英雄候補者たち
特に変哲のない短編RPG。

Merry X'mas you, for your closed world, and you...
メタメタフィクションノベルゲーム。

公開中の小説作品
創死者の潰えた夢
世界を支配するはずだった黒幕の野望は、隕石によって粉砕された。

或る魔王軍の遍歴
「主人公補正」によって哀れにも敗れていくすべての悪役に捧ぐ。

ドアによる未来
「どこでもドア」はいかに世界に影響を及ぼし、人類になにをもたらすのか。

Melonbooks DL

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