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あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
小説
こちら『或る魔王軍の遍歴』反省会場となります。
連載していたのが完結したので後書きみたいなものです。
ネタバレ注意!





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裏設定というものがございます。
すなわち、「作中では明らかにされない設定」のことです。
はてさて、こんなものに意味はあるのか。
設定があるんなら作中で全部明かせや! 作者の自己満足や!
と、私は今まで思っていました。

では、裏設定に意味があるとしたらどういったものでしょう?
一つに、読者に想像の余地を与えるというものがございます。
我々は現実に生きていて、様々なものを見、聞き、様々な疑問を抱きます。
ですが、そのすべてを知ることはできません。
名前も顔も知らないような人々が地球上には何十億もいるのです。
あるいは身近に知っているあの人もこの人も、ときに不可解な言動を見せることがありましょう。
その意味は? どのような事情があって?
知ることもできますが、一生知ることはできないかもしれません。

このような、不親切設計のリアリティをフィクションの中で再現したい。
そういったときに、裏設定というのは活きてきます。
確かな事情はあるのだけれど、読者や登場人物に明かされることはない。
『ハンターハンター』などが、こういった設計思想に基づいてつくれています。
ネタに困らないための予防線ともいえますが、この作品ではおそらく回収するつもりのない伏線がいくらかございます。
このバランス感覚のおかげで「世界の片隅で冒険している」感をうまく演出できています。
ですが、同作品に緻密な裏設定があるとは思えません。
作者のみ知るばかりではありますが、おそらくは曖昧にぼかしているだけで、作者自身も詳細な設定については考えていないと見るのが妥当でしょう。
それは世界地図の適当さからも推し量れます。

そうです、「不親切設計のリアリティ」を再現するだけなら、なにも裏設定は要らないのです。
ただ、曖昧にぼかしてしまえばいい。作者も、わざわざ設定を確定させる必要はないのです。
ちゃんとした設定があるのなら、やはり読者に開示すべきでしょう。
それが『ワンピース』のような冒険譚であれば!
(『ワンピース』は伏線をきっちり回収しすぎなところもあるけれど)

さてさて、いきなりこのようなお話をはじめたのも、他でもありません。
私の作品『或る魔王軍の遍歴』が、おそろしいまでの裏設定祭りなのでございます。
これまで私は、裏設定というものに否定的な立場をとってきました。
私は設定をあまり念入りに錬るタイプではございませんでした。
必要最低限の設定は考えますが、必要最低限の設定しか考えません。
裏設定などもってのほか、労力の無駄です。
その私が、あろうことか裏設定に溢れかえった小説を書いてしまったのです。
「ならば、その設定を作中で明かして裏でなくせばいい!」
そうはいきません。明かすタイミングがないのです。
「じゃあなんで明かすつもりのない設定なんてつくったんだ!」
理由は、この小説の世界設定は、もともとこの小説のために錬られたものではないからです。
ある馬鹿みたいに長い大長編の作品構想がありまして。
しかしこの作品、長すぎてまず書く気はしません。
プロットですら未完成、着地点が見えないような構想です。
ホントに書くのか書かないのかわからないまま、設定やらプロットやらを延々と煮詰めて参りました。
この作品においては、さまざまな世界設定はタイミングを待って明かされます。
しかし、それは大長編だからこそ可能な所業。
「どうせ同じような世界設定(ファンタジー)の話を書くんなら、一から考えんの面倒だからこの構想をもとにパクってしまえ」
『或る魔王軍の遍歴』は、このようにして借り物の世界を舞台にすることにしました。
そして、自ずと元作品と同じようなシチュエーションが発生します。
元作品では、あるエピソードで残った謎が、別のエピソードで解消されます。
しかし『或る魔王軍の遍歴』においては、解決編が存在しないのです。

なんということでしょう。
これでは読者にただならぬもやもやが残ってしまうのでは?
いえいえ、明かすつもりのない裏設定です。そんなに酷い煽り方はしません。
それに、読者も納得してくださることでしょう。裏設定が明かされない理由についても。
『或る魔王軍の遍歴』は、世界を冒険したり、世界の謎を解き明かすような、冒険譚ではないからです。
ある一本の明確なテーマがあり、それを描くためにある架空の世界を舞台にしているに過ぎません。
ゆえに、裏設定は明かされず、明かす必要もないのです。
はてさて、この作品のテーマとは?
ずばり「主人公補正のグロテスクさを描く」というものでございます。
私常々、以下のような発言をしてきました。
「主人公が勝つなんて分かり切ってるので悪役を応援してしまう」
「悪役が多額の予算と念入りな準備を経て発動した壮大な世界征服計画を主人公が叩き潰すのを見るとすごく哀しい気持ちになる」
「どんなに緻密な計画を立ててもメタ的に敗北が決定している悪役っているよね。あの哀れさは胸を打つ」
「悪役は悪役でなんらかの思想を持っていて、長々と演説したりするんだけど、主人公はそれを否定するだけで語るべき思想を持ってない。こりゃ悪役の方を応援したくなるわー」
おわかりいただけますでしょうか?
おわかりいただけないかもしれません。
というわけで、おわかりいただくために一つこの感情を作品化してみようという試みです。

主人公は「勇者と魔王」。とてもわかりやすいですね。
勇者と魔王を怠け者にしたり萌えキャラにしたりなどというのはもはややり尽くされむしろ目新しさがないので、キャラ設定そのものはあえて王道です。
魔王は強くてかっこよく、勇者は熱くてウザい仕上がりになっております。

魔王の目的は世界征服です。定番ですね。
ですが、その背景には複雑な政治事情や、理念・思想がございます。
勇者のみならず、数々の冒険屋が魔王を狙っています。
部下の扱いをはじめとする組織運営についても、魔王は多くの苦労と努力をしています。

一方、勇者といえば、非常に単純な世界観の中を生きています。
彼自身はなんら理念も思想もなく、ただ頑張っている人(悪役)の邪魔をするだけの存在です。
世界を善と悪で色分けし、そのことについて一切疑問を抱くことがありません。
それでいて、彼は常に奇跡を味方につけ、申し訳程度に苦労しつつ、結果的にはなんでもうまくいきます。
それ以外の人々はとてもシビアな世界の中を生きているのに、とても理不尽ですね。

ですが、RPGの設定というものは得てしてそういうものです。
世界を征服しようと、それだけの力のある魔王を、たかがティーンの少年たちがその野望を阻止してしまうのです。
そんなふざけた存在を敵に回してしまったとなれば、魔王も堪ったものではないでしょう。
この作品のテーマはそれです。
そのために、勇者以外の世界は非常に緻密に、複雑に設計されています。
こういった類の作品であれば、裏設定というものは活きてくるのではないでしょうか。

・仲間が傷つけられると力が増す
・愛と勇気で何度でも立ち上がる
・ピンチになると覚醒する
・明らかな致命傷は必ず運よく避ける
・短期間の修行で劇的に強くなる
・ヒロインは勇者に惚れ、人々は勇者をたたえる

このような理不尽な主人公補正を持った相手に対し、魔王はどう対処すればいいのでしょうか?
とても哀しい物語の始まりです。

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第2回 星海社FICTIONS新人賞 編集者座談会

にて、見事落選した『或る魔王軍の遍歴』ですが、このままお蔵にするにはもったいないので例によって公開します。
ただ、公開先ですが「小説家になろう」というサイトを利用してみることにしました。
なぜ? 表紙を描くのが面倒だから!
シヌナと同じように、するならやっぱ表紙がないと締まらないのです。
のちのちやる気になって表紙を書いたら自サイトでも公開するかも知れませんが。まあどうでもいいですね。

というわけで公開はこちらです。
まずは第一章。別に一気に公開してもいいんですが、連載という形がPVにどう影響を与えるのかってのが気になっていたので、小出しにします。
とはいえ、とっくに完成している作品ですのでそこそこハイペースで出していくかと思います。
ちなみに全八章。長さは文庫本換算で350pくらいだったと思います。

タイトルは星海社の編集さんからさんざんボコられてますが、他に思いつかないのでこのままです。
タイトルを決めるときは、①内容にふさわしいこと ②ググりやすさ ③センスの良さ を意識していますが、今回は③を犠牲にして①と②をとることになります。
③を犠牲にって。③が一番大事なことだろうに。③が!
『「魔王」物語』って案もあったんですが、どう考えても『魔王物語物語』がひっかかっちゃう!
魔王の憂鬱』というのも初期に案としてあったけど、これもすでに!
というわけで、『或る魔王軍の遍歴』というタイトルになりましたとさ。

う、う~ん。それにしても、そんなに酷いタイトルだろうか……とは思わなくもない……。

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魔法少女シヌナ』の話。

ラブゼムさん(@lovethem)とNiexさん(@Meerclar)から頂いた意見・感想をもとに大幅に改稿しました。
(ラブゼムさんからいただいた詳細な感想はこちら
文字数でいえば2000字減って5000字増え、結果として3000字ほど増えました(また増えたのか……)。
あと挿絵も増えてきてます。現在10枚。

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現在、僕が完成させた長・中編作品は5つ。
うち、公開している作品は3つです。
Merry X'mas you, for your closed world, and you...
魔法少女シヌナ
Super Apple

残り2作は、またなんらかの機会で。
タイトルは『malice』と『或る魔王軍の遍歴』というのですが。
普通にweb小説なんて公開しても読まれるわけねー! というのは分かり切っているので。
とまあ、これまで作品を書いてきたなかでいろいろ注意したり考えてきたことがあったわけですよ。
そのへん少しまとめてみたいと思います。


作品によってテーマは異なってくるが、共通するテーマもあります。
つまりは「社会の多様性」「人間の多面性」みたいなもの。
様々な立場にいる人間の思惑や利害が複雑に絡み合うような群像劇が好きなんです。
(それに外れているのが『メリクリ』と『超林檎』。この二作は一人称で登場人物の少ない話で、よくモチベーションが保ったものだと今となっては感心します)

それぞれ異なる文化環境に育ち、異なる思想を抱き、本来は関わり合うことなどないような両者があるきっかけのために出会い、対立する。
たとえばそういうシチュエーションが書きたいわけです。
『バキ』でいえば、空手の最強を信じひたすら鍛錬を続けてきた男と、訓練を女々しいと断じ拒否してきた男というまったく相反する思想のぶつかり合いなんて素敵ですよね。
しかし、内面が一切理解もできず想像もできないような人物はキャラクターとして登場させることは難い。
キャラが作者の分身以上の存在になり得ないなら作者自身の器を拡大するほかない。
となると、思想面においてはキャラは常に「劣化作者」にならざるをえない問題が生じる。
難しいですね。
この点は「作者の理想像」とか巧く使って。あとは実在の人物をモデルにするとか。

『魔法少女シヌナ』においてもこのへんはだいぶ意識しました。
たとえば、登場人物の一人である「ヴァルグ・ヴィロック」は「ヴァーグ・ヴァイカーネス」というあからさまなモデルがいます。
ヴィジュアルイメージもかなり似てます。訴えらえたりしないかしら。
ノルウェー出身であること。ワンマンバンドであること。教会への放火や、ライバルを殺害したこと。
このあたりのエピソードはまんまです。
とはいえ、もちろんなにからなにまで同じではありません。
思想面に関しては「作者の理想像」をうまく交えつつ、だいぶアレンジしてあります。
(「理想像=そうありたいと願う姿」じゃないからね! 注意!)
(あとは未公開作品である『malice』の主人公と設定がかなり被ってますが、それはまた別の話)
一方、この作品にはそんな彼とは一切無関係な分野のキャラも登場します。
中国黒社会です。なにを思って中国黒社会なんて登場させようと思ったのか。
というより、そもそもこの作品は「魔法少女」が主軸になる話。
そこに、普通だったらまるで関わりのないような、かつ明確なバックボーンのあるキャラクターを登場させ、絡ませる。
『魔法少女シヌナ』のコンセプトは大体そんな感じです。


さて、そのようなキャラクター中心の話になるなら魅力的なキャラクターを書くこと、キャラ立てが重要になってきます。
その方法として、キャラクターを立てるときは、そのキャラが死ぬことを前提に考えます。
もちろん全キャラを皆殺しにするつもりはありませんが、「もし死んだら……」と考えるわけです。
そのキャラが死んだときにどれだけ読者にショックを与えられるか。
与えられるならそのキャラは立っていた、といえる。
という風に。
殺すつもりでなければキャラ立てなんてやる気出ませんからね。
特に萌えキャラなんて、殺す以外に何の使い道があるのか。

つまり逆にいえば、どんなキャラなら死んだときにショックを受けるのか。
雑魚キャラや、はじめから死ぬのがわかっているようなあからさまな噛ませキャラの死は、もちろんショックを与えられません。
ならば、死ぬとは思われないようなキャラが死ねばショックも大きいでしょう。
『魔人探偵ネウロ』はこの点よくできてました。この作品におけるキャラの死には、ガチでショックを受けたものです。
さて、「その死にショックを受けるキャラ」とは、具体的にはどのようなキャラか。
たとえば、レギュラーキャラはもちろんそうです。
とはいえ、あからさまな死亡フラグが立っていたり、役割を終えてしまったようなキャラクターの予定調和な死にはなにも感じませんね。
どれだけ多くの物語を背負っているか。つまりは他のキャラクターとの関わりが指標になります。
愛すべき家族がいるから死ねない。ある目的を成し遂げるという役割が残っているから死ねない。
つまりは、そのキャラクターが死ぬことによってどれだけの物語が失われてしまうかということ。
死ぬという役割しかないようなキャラは、使い古された言い方をすれば、「殺す価値もない」わけですよ。

さて、そんな殺したがりの作者の描く物語の中で、登場人物が生き残るための方法は一つ。
「あれ? こいつ、生きてた方が面白くなるんじゃないか?」と作者に思わせること。
「あーあ、こいつ死んだな……」と思っていたキャラクターが生き残るときも、別のベクトルで驚きがあります。
死亡フラグが立ちまくっていたのに生き残るとそれはそれでカタルシスですよね。
たとえば、「実力未知数の敵キャラVS一度負けた敵キャラ」というマッチメイクがあれば、間違いなく前者が勝ちます。
ここでその法則を裏切って後者が勝つと熱いものがありますよね。

あるいは、死んでしまうと物語が急激につまらなくなってしまうような場合。
仮に『スタートレックTNG』でピカード艦長が作中で死亡すればそれはそれは大変なショックでしょうが、今後の物語に明らかな支障を来します。視聴者は間違いなく離れていくでしょう。
こんな感じで、殺すつもりで書いていたキャラが、殺すに殺せなくなり、結果生き残ってしまうわけです。
ジレンマですね。
でも萌えキャラを殺すときにはあまり躊躇を感じたことはないです。
あいつら死んだ方が絶対面白い。
うわああ萌えキャラを大量に登場させてズッコンバッコン殺しまくる話が書きたいよおおお!!

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プロフィール
HN:
饗庭淵
性別:
男性
自己紹介:
読みは「あえばふち」だよ!
SFが好きです。
公開中のゲーム作品
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パイズリセックスRPG。

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仲間を弱らせて殺す遺跡探索RPG。

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特に変哲のない短編RPG。

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公開中の小説作品
創死者の潰えた夢
世界を支配するはずだった黒幕の野望は、隕石によって粉砕された。

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「主人公補正」によって哀れにも敗れていくすべての悪役に捧ぐ。

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「どこでもドア」はいかに世界に影響を及ぼし、人類になにをもたらすのか。

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