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カマソッソシリーズをPIAIせよ
writer:饗庭淵 2019-01-08(Tue) レビュー・感想・紹介 
「カマソッソ」シリーズをPIAIしました。
とてつもなく面白かったです。クッソ面白かった。めちゃくちゃ面白い。
語彙がねえなと思うけどとにかく面白い。まずこれを強調したい。

なんやねん、というと、「RPGツクール2000」でつくられた「見るゲ」というジャンルの作品になります。
要はノベルゲームみたいなの。
「シリーズ三部作+α」という構成で、一言で表すなら……表すなら……なんだろ……。
一言ではいい表しづらい作品! その理由はそれぞれを個別に紹介しながら解説しましょう!

※ちなみにVIPRPGの慣習としてexeファイルが抜かれています!
プレイするためにはこちらのツールを利用すると便利です。

(追記)
※本シリーズを含む作者さんの公式サイトができたようです。
こちらでDLするとexeファイルも同梱されています。



カマソッソの誕生
(公式紹介画像より)

第一作。
ジャンルは「ドタバタコメディ系見るゲー」


“悪魔が召喚され願いを叶える”という言い伝えの「カマソキューブ」だったが……叶えられる願いは悪魔のものだった!
復活した悪神カマソッソが世界を手中に収めるため動き出す……が、封印されすぎて力は大幅に弱体化!
「悪ゲージ」を溜めなければ力は戻らない! わずかな力で悪事を働けカマソッソ様!


というようなあらすじ。
悪事の内容もいちいちしょうもなくて、老人を生き埋めにしたりピンポンダッシュしたり居候先で大音量の音楽を流して迷惑をかけたり……。
そんなしょうもない悪事を繰り返して「悪ゲージ」を溜めていくんだけど、うっかり「善行」を働いてしまって台無しになってしまったり。


 

そんなこんなでギャグ9割、シリアス1割みたいなお話。
シリアスパートとしては強キャラが続々登場して、歴戦の勇者アレックスやら人間と和解している魔王軍やら玉露三将軍のアグネファイアやらと、「カマソッソ様、仮に完全復活しても大丈夫?」と不安になるほど。
むろん、弱体化している本作では手も足も出ないので、悪事を働こうにも司法の力に取り押さえられて二進も三進もいかない有様。

力を失い、それゆえに人間たちと多く関わるようになってカマソッソ様は「なぜ自分は悪を成すのか」を考えるようになり……。
パロディ盛りだくさんのドタバタコメディ、勢いのあるテキストで進行しつつも最終的には美しく収束していきます。

そんな「神」と「人」の物語。


 
カマソッソの謎
(公式紹介画像より)

第二作。
ジャンルは「ダークシリアス系見るゲー」

前作を知ってると「は?」となりそうなジャンル名ですが……嘘偽りなくダークシリアスです
この「カマソッソ」シリーズは作者自身も語っていますが、作品ごとにジャンルがガラリと変わります。そういう試みなのだそうです。
「カマソッソ」シリーズを「一言ではいい表しづらい」としたのはこのためです。

前作ではあれほど愛嬌のあるポンコツ悪神だったカマソッソ様ですが、本作では「邪悪の化身」そのものとして君臨します。
というのも、カマソッソ様は「神」であり、地上に受肉する際にはその依り代によって性質が大きく変わるためです。
『誕生』では「元勇者の盗賊」を依り代としていたため悪神とはいえかなり善良な性質となっていましたが、本作では「長年の戦争で積もりに積もった憎悪」を依り代としています。
もはや邪悪要素しかない。愛嬌も茶目っ気も微塵もありません。邪悪オブ邪悪です。
前作でいうところの「悪ゲージ」はMAXです。なので強さも途方もない。

前作でも設定としてはそのように語られていました。
「こんなポンコツ悪神だけど力を取り戻したらなんだかんだガチのやべー悪役になるのでは?」
そんなことを僕も考えてはいました。
マジでガチのやべー悪役になりました。

あるじゃないですか。
「魔王」だとか「悪の秘密結社」だとか、本来なら悪役の立場にあるキャラを主人公にして可愛らしく描いてコメディ風にする作品。
カマソッソ様も「誕生」だけならその系統の作品です。
「魔王」だの「悪神」だのは名ばかりで実際には愛嬌のある憎めないキャラで、そのギャップが可愛らしいみたいな。
「カマソッソ」シリーズでは、そんなただの「設定」だと思っていたものがガチで拾われます

というわけで、本作におけるカマソッソ様は主人公ではなく悪役、それもラスボスです。
前作ではギャグキャラでしかなかったカマソッソ様の部下セノバイトも本気でおそろしい。
「風そのものになる」とか「すべての攻撃を回避する」とか無体すぎる能力で大暴れしたりします。
ビジュアルは前作と同じでギャグキャラそのものなのに! めちゃくちゃこわい!


さて、本編のお話。
舞台は前作では仄めかし程度に名前の出ていた「法王庁」のある神の国。
前作同様さまざまな強キャラが跳梁跋扈しますが……まったく見え方が変わります。
「カマソッソ様大丈夫? こんな連中に勝てる?」だったのが前作。
本作では「いったい誰がカマソッソ様に勝てるんだ……?!」という途方もない絶望感に見舞われます。


本作のカマソッソ様はもはや厄災。
軍がいくら束になってかかっても手も足も出ないほど凶悪です。それでいて狡猾。
戦争状態をできるだけ長引かせる策略を巡らせて世界を滅ぼさんという勢いです。
戦場描写がとにかく重い。悲惨。
前作においては悪役に位置していたアグネファイア将軍が見ていていたたまれないほどです。


本作ではシリアス9割、ギャグ1割です。
ギャグ1割といってもシリアスパートがあまりに重いので蹂躙される前振りにしか見えません。つらい。


あと百合です。



 
カマソッソの最期
(公式紹介画像より)

第三作。
ジャンルは「ラブストーリー系ギャグアクション見るゲー」

シリーズ集大成、完結編です。

またしてもジャンルが大きく異なりますが、ノリとしてはどちらかといえば『誕生』寄りです。
一方で平気で人が死にます。本筋はかなりシリアスなアクションものです。
というわけで、シリアス5割、ギャグ5割といったところでしょうか。
シリアスとギャグで交互にぶん殴られて頭おかしなりますよこんなん。

「ギャグかと思っていたものが実はシリアスの伏線だった!」みたいなのが好きなら本作ですね。
この感じ、なーんか覚えがあるな……と思ったらFFSですよ。
えーっと、FFSというのは……「ファイナルファンタジー」の二次創作小説で……あ、これも説明してたら脱線してキリがない!


シリーズ集大成だけあってキャラクターがとにかく多く登場します。
当然それぞれに物語が発生して、それぞれを真面目に書いてたらダレてしまいそうなところをギャグ描写ですっぱり切り捨てる! みたいな思い切りのよさがあります。
「もう全部こいつに任せればいいんじゃないかな」みたいな味方側の強キャラがいたりしますが、そいつに任せると主人公の出番がないじゃん!
というのを、クソしょーもないギャグ展開で無力化したります。すげえ……。

あ、ちなみにここでいう「主人公」というのはカマソッソ様ではなく「アレックス」になります。
前作より百年以上経過した世界が舞台で、勇者一族の子孫ですね。
そういうわけで前作や前々作からの続投キャラはカマソッソ様みたいな神だったり、数百年以上の寿命を持つような長命種にかぎります。
それ以外にも見覚えのあるキャラはちょいちょい出ますが、彼らは姿形を同じくする転生者であって以前の記憶は持っていなかったりする設定になります。

アグネファイア将軍は魔人ということで続投です。やったー!
『誕生』では悪役、『謎』では脇役、『最期』では頼れる味方キャラです。
「おばさん」だの「ババア」だの呼ばれますが、まさにそういう最強ババアポジション。
ホントにもうめちゃくちゃかっこいい……。


前作のあの二人も感動の再会を果たすぞ!
二人とも転生してるので記憶はありませんが、魂が惹かれあってるんですねえ。
……こんなきたない再会ある?

作者自身もあとがきでいってますが、本作はキャラゲーになります。
『誕生』や『謎』みたいにテーマ性よりはキャラがいっぱいドッタンバッタン大騒ぎして楽しい! というお祭りみたいな作品です。


カマソッソ様がいないと思って調子に乗って「邪帝王フラミッミ」を名乗りだすフラミーとか。


パンプキンと再会してめっちゃ笑顔のカマソッソ様とか……。


カワイイおばあちゃんの側面を見せるアグネファイアとか……。


で、刃牙道です。
もはやパロディという次元じゃないというほどの刃牙道です。
刃牙道における武蔵モチーフのキャラクター、「ムシャ」が大暴れします。
主人公のアレックスは刃牙で、ピクルっぽいやつ、本部以蔵っぽいやつ、ガイアっぽいやつ、モハメド・タライJrなど盛りだくさん。
地下闘技場みたいなところで決着をつけたりします。
戦闘描写の白熱っぷりがすんごい。


あとはこう、ネウロですね。
今回のカマソッソ様は、人格ベースとしては『誕生』ですが、実力としては『謎』のときくらいに強いです。
邪悪オブ邪悪な性質は彼女本来のものではありますが、『謎』ほどガチではなく、力を持ち人々に大迷惑をかけながらも愛嬌に満ちた存在となっています。
要するにネウロみたいな感じです。



「もはや別キャラじゃん!」ってくらいにシリーズ作それぞれで性質の異なるカマソッソ様ですが、本人としては記憶も引き継いでいて、同一性・連続性は保たれている認識のようです。
たとえば『誕生』における演説を恥ずかしがったりとか、『謎』における大虐殺を悔いたりとか、人間の感覚ではそういうのがありそうですが、彼女は「神」です。
そういうのがまったくない。
これほどまでに多様で幅のある性質すべてひっくるめて「カマソッソ様」というキャラクターなのですね。


 
カマソッソの冬休み
(公式紹介画像より)


ジャンルは「日常系はちゃめちゃギャグ紙芝居」

三部作でおわりじゃなかったんですかー! やったー!
時系列としては『最期』でカットされた「冬休み」という位置づけ。
お気軽な短編かと思ったら結構ボリュームがある! うれしい!
オムニバス形式で盛りだくさん!


カマソッソとシドの関係がホント愛おしい……。


この面子で格付けチェックパロディとか面白くないわけがない。


「涙と友情の雪合戦」ではフラミーと前貼りも喧嘩ばっかりで仲の悪い百合!(?)
『最期』で媚薬飲んで欲情したフラミーが前貼り狙ってたのもそういうことだったんやなって。


「ミズニーマウスのあばれ旅」は作中では中堅くらいの実力者がやたらめったら喧嘩を売りまくるという番外編として最高な話。
そこそこは強いけどそらなー、お前アグネファイアに喧嘩売ろうってのは無謀すぎるやろ!?


「クリスマスだよ! 全員集合!」はホントに全員集合してクリスマスパーティだー!!
最高すぎる……ここまでカマソッソ様を追っかけてきたプレイヤーにとってはあまりに幸せな時間です。

『最期』でもアグネファイアとサンタにはふかいかかわりがありましたね。


でもやっぱクリスマスはこうだよな!!


最終章「ラストダンス」では、第一作でパートナーだった恍惚、第二作で敵だったネクロとの絡みがもうね……。
神であるカマソッソ様と違って二人は人間なので、今いる彼らは転生した存在であって以前の彼らではありません。


記録として以前のカマソッソ様を知ってはいても、記憶はない。


ネクロに対しては、あまりの体たらくに公式との解釈違いで発狂したオタクみたいになるカマソッソ様。

そんなこんなと、カマソッソ様の彼らへの感情は一方的なものに過ぎないという寂寥感はあるものの、なんだかんだと新しい関係を築いていく。

こんなん……番外編じゃなくて真・最終章やんけ!!
というわけで、カマソッソシリーズは「三部作+α」改め「四部作」です。



【補足】
ちなみに「カマソッソ」シリーズの登場人物や設定はVIPRPG「もしもシリーズ」というシェアードワールドを基にしたものになっています。

勇者アレックスなどのRTPキャラ※はもちろん、アグネファイアなどの玉露三将軍など、というか登場人物はほぼすべてスターシステムめいたやつです。
(※「RPGツクール」シリーズのデフォ素材として収録されているキャラクター)

なので、本シリーズを楽しむためにはそういった前提知識が少し必要かもしれません。
(アレックスとファルコンが元勇者で仲間みたいなのはそのへん知らないと唐突すぎるように見えるかも)
(「恍惚なる闇」って人名!? とか)

まあ、僕もそんな詳しくは知らないのでそういうものだと薄らぼんやりと知ってればいいんじゃないかと思います!


要するに……
こいつは極上のエンターテイメントだ!! PIAI、しよう!!

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