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あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
〈星を継ぐもの〉シリーズ
writer:饗庭淵 2012-06-05(Tue) レビュー・感想・紹介 
ホーガンの〈ガニメアン〉シリーズ、『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』を再読したので感想でも。
これらの作品群を読んだことのない人がこの記事に興味を抱くかは不明だが、以下既読者向けにネタバレお構いなしに書きます。
『内なる宇宙』も読んだことはあるけれど、手元にはないので今回の再読分には含まれず。
(あまり再読したいと思えるほどの作品でもなかったし)


さて、改めて読んでみると、SF設定にしても、プロットにしてもかなり拙い印象を受けた。
面白いには面白い、が、特にガニメアンの設定がよくない。
読んでいてそればかりが気になってしまった。
他の作品にも言えるがホーガンは進化論に対する理解があまりに浅い。
代表的なのが、「ガニメアンは肉食ではないので争いを知らない」
これはあまりに酷い。巷でいう「肉食系」「草食系」と同レベルの理解だ。
肉食でなくとも当然争いは生まれる。
縄張り争い。性淘汰。殺し合いにまで発展する機会は稀ではあるが、争いは確実にあるし、騙し合いも盛んだ。
進化の歴史は争いの歴史だ。生物である以上争いを避けることはできない。
……という、常識に反する設定で読者を驚かせる、という意図があったのかも知れないが、設定考証が甘すぎた。
ガニメアンは囚人のジレンマにおいて「協力」カードを出し続ける種族なわけだが、現実的に考えればそんな環境では突然変異として現れた「裏切り」者が圧勝し、利益を独占し繁栄し、やがて「協力」と「裏切り」は均衡状態に向かうのが自然だ。
既知の理論では説明できない現象を説明するために拵えられたデタラメな造語に基づくトンデモ物理学なら別に構わないんだけど、既知の理論で説明・反駁できる範囲内だとどうも。
しかしこれはSF。とりあえずガニメアンに関しては「そういう設定」なのだと目を瞑ることにしよう。

だが、このあたりの甘さは『巨人たちの星』に登場する「ジェヴレン」にも現れる。

「彼ら(ジェブレン)は要するに、ガニメアンしか知らないね」(中略)「ところが、こっちは何千年来、人間同士でやってる」

お前はなにをいってるんだ。
少し想像力を働かせればわかるが、ジェヴレンだって一枚岩ではないはずだ。
ジェヴレン人もジェヴレン人同士で騙し合っているはずだ。
ホーガンさんはこういうところが弱すぎる。
彼の作品は突飛で奥深いSF設定は魅力的だが、敵キャラが総じて弱い。
彼の作品のすべてを読んだわけではないが、追い詰められるとすぐにパニックになり壊れたラジオみたいに罵詈雑言を撒き散らすだけの存在に成り下がる。
敵キャラが弱いので、終盤になるほどに酷く退屈になる。
終盤になると退屈になってしまう作品はホーガンさん以外にも枚挙に暇がないけれど。


もう一つ気になったのは、ホーガンさんに限らず「宇宙人」を扱ったSF作品全般に言える感想。
レムの三分類に従えばガニメアンは「人類と意思疎通ができる」タイプの宇宙人だが、あまりに意思疎通できすぎる!
「宇宙人が人間的すぎる」どころか「人間以上に話が通じる」=「コミュニケーションの齟齬がない」
これはさすがにないだろ……と読みながら思っていたが、「同じ日本人より米国人との方が会話できるわー」って人はいるだろうし、まったくあり得ない話でもないかと思い直す。
今までは「同じ人間同士ですらまともにコミュニケーションとれないのに宇宙人とコミュニケーションなんてとれるはずがない!」と思っていたが、同じ人間同士で話が通じないからといって宇宙人とも通じないとは限らない。
という発見があったので、読み直してよかったと思いました(小学生の感想文のイントネーションで)。
「宇宙人」のキャラクター造形は難しい。その点、同作者の『断絶の航海』に登場するケイロン人はよくできてる。


「地球上に蔓延る呪術・迷信・宗教などの非合理思考はすべて地球文明の発展を遅らせるために仕組まれたジェヴレンの陰謀だったんだよ!!!」という設定はさすがに馬鹿すぎて笑えるが、「宗教=害悪」を前提とした戯画的な発想は嫌いじゃない。


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