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ドアによる未来
writer:饗庭淵 2012-08-07(Tue) 小説 
ドアによる未来

完結まで投稿を終えたのでここで後書きのようなものでも。
この作品は、ある新人賞に応募して落選したものに多少の加筆をしたものになります。
落選から公開までずいぶん間が開いてますが、加筆に時間がかかったとかそういうわけではなく、単にめんどくさかっただけです。
せっかくなので時間をおいて読み返すことでより客観的な推敲がしたかったのもありますが、いずれにせよ大きな変更はありません。


この作品のもともとの発想は「どこでもドアって兵器利用したら最強じゃね?」といったものです。
僕はいわゆる「能力バトルもの」が好みなのですが、そのうちで「幻覚系の能力」と「どこでもドアのような移動能力」が二強なのではないかと思っています。
似たような話は『或る魔法軍の遍歴』でも語られていますね。
で、どこでもドアのように自由自在に「扉」を開けられる、そんな相手を敵に回したらどうするか。
そんな妄想していて、浮かんだ対抗策が「海の中」か「空の上」でした。
前者であれば「扉」を開いた瞬間大量の海水が流れ込みます。
後者であれば気圧差で一気に吸い込まれるでしょう。

これはあくまで「人VS人」を想定した、少年漫画的な設定での妄想です。
そこから出発して「兵器利用となると原子力潜水艦との併用が最強ではないか」というアイデアに至ったわけです。
もともとは「狙いを外して海中にドアを開いてしまうと危険なので迂闊に攻撃できない」という発想でしたが、これはエアロックというアイデアで簡単にクリアできます。
しかし一方で、原潜の強さはステルス性にあります。
どこでもドアは相手の位置さえ分かれば無限の攻撃力を有する兵器となる。
ならば位置を秘匿するしかない。その点で最も秀でた兵器は原潜である。
いずれにせよ原潜運用が最強であるという結論は変わりませんでした。

実は言うと本作はほとんど共作のようなもので、URATOMOという友人の全面協力を得て書かれています。
「どこでもドアをリアルに軍事運用したらどうなるか」
魅力的なテーマですが、僕だけの力では知識が足りません。
そこで彼に軍事考証を依頼したわけです。
実際にはそれだけに留まらず設定考証全般、改善点の提案、プロット段階でのアイデア出しまで協力を得ています。
具体的には、四章のラストなどは彼のアイデアです。


以上のように、もともとのアイデアは「どこでもドアの軍事利用」ですが、作品のテーマそのものは「どこでもドアが実際にあったらどうなるか?」に切り替えています。
そして現実的に考えるなら、突如そのようなオーバーテクノロジーが降ってくればなにかの手違いで戦争になってしまうだろう。
第4回星海社FICTIONS新人賞 編集者座談会』では「現実的すぎる」と評されましたが、まさにその点が本作の売りだと考えています。
「どこでもドアのガチな軍事利用」、これもまた一つの「男の子の夢」だと思うんですけどねえ。

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ドアによる未来
「どこでもドア」はいかに世界に影響を及ぼし、人類になにをもたらすのか。

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