あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
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人類補完機構
writer:饗庭淵 2012-06-16(Sat) レビュー・感想・紹介
コードウェイナー・スミス〈人類補完機構〉シリーズの『第81Q戦争』と『シェイヨルという名の惑星』を読んだのでまとめてその感想。
読んでて、まず思ったのは、自分の中で「SF=ハードSF」の観念ができあがっているなあ、ということ。
というのも、スミスはハードSFではなかったからだ。
ハードSFというのは「既知の科学理論を参照し、架空の現象についても原理や理論を厳密に描写するSF」ジャンルとのこと。
で、僕はSFというのはそういうものだと思っていたが、あくまでそれはSFのなかでの一ジャンルに過ぎなかったらしい。
(もちろんハードSF以外のSFも読んだことはあるし、その認識もあったが、すっかり忘れていた)
そして、スミスを読んでいて「これはSFなのか?」という疑問が何度か頭をもたげた。
おっと、いやだからといって「これはSFじゃない!」などと主張しジャンル論争を呼び起こしたいわけではなく、僕がそう思ったという感想がスミスの作風を伝えるのに役立てばと、あくまでそういう意図です。
不毛なジャンル論争には興味ありません!
実際、スミスもファンタジー誌に作品を応募などしていたようで、「ファンタジー寄りのSF」ということでイメージは伝えられるのではないでしょうか?
つまりスミスの作風は、ハードSFのように原理や理論の説明を積み上げてリアリティを構築するタイプではなく、あえて説明を省くことで読者の想像力を刺激し力業で読者を異世界に引きずり込むタイプ。
シナリオやストーリーや設定考証ではなくテキストを読ませる。
スミスは奇妙な言語表現や造語で読者の興味を惹くのが持ち味のようで、いわば詩的な作風。
訳のクオリティに左右されるのは翻訳作品全般でいえるが、スミスは特に顕著なのではなかろうか。
機械翻訳で内容がわかるだけでは楽しみは二割程度か(普通の作品が五割程度として)。
もちろん、原文を読んだり他の翻訳を読み比べたりしたわけではないので憶測に過ぎないけれど。
さて、内容について。
あらすじとしては「人類補完機構」という組織を軸にした一万年規模の未来史短編集といったもの。
概要だけ聞くとすごいスケール感にワクワクしたが、読んでて壮大なイメージは特に喚起されない。
「補完機構」には数人の長官がいて、といった組織図の説明はたびたびなされるが、長官以外には誰がいるのか? 下部組織は? そういう描写はほぼない。
一万年近く人類を統治してきた、という設定だったか、しかしそれに見合うスケール感はない。
そういう作風だ、ということなら別にそれでいいのだけれど。
面白いか、といわれれば、まあ面白いけれど、「よくできたラノベ」レベル。
「「なんか変な言動の登場人物が現れて、「なんだこいつは?!」というパターンの話が多い。
あらすじだけでは面白さは伝えられないが、描写については惹き込まれるものはある。
入念に伏線を仕掛けたり、オチでどんでん返したり、そういうテクニカルなことはあんまりしてない。
例外としては『第81Q戦争』収録「ガスタブルの惑星より」
この作品はユーモアに溢れてて好き。
あと好きなものを挙げれば同収録「大佐は無の極から帰った」
二次元から帰った大佐が二次元に戻りたい戻りたいって話。
「人びとが降った日」も、一発ネタだがイメージは強烈。
『シェイヨルという名の惑星』では、表題作が特に気に入った。美しいグロテスク。
「刑罰星」というアイデアはSFではよく見かけるが、彼がネタ元だったりする?
読んでて、まず思ったのは、自分の中で「SF=ハードSF」の観念ができあがっているなあ、ということ。
というのも、スミスはハードSFではなかったからだ。
ハードSFというのは「既知の科学理論を参照し、架空の現象についても原理や理論を厳密に描写するSF」ジャンルとのこと。
で、僕はSFというのはそういうものだと思っていたが、あくまでそれはSFのなかでの一ジャンルに過ぎなかったらしい。
(もちろんハードSF以外のSFも読んだことはあるし、その認識もあったが、すっかり忘れていた)
そして、スミスを読んでいて「これはSFなのか?」という疑問が何度か頭をもたげた。
おっと、いやだからといって「これはSFじゃない!」などと主張しジャンル論争を呼び起こしたいわけではなく、僕がそう思ったという感想がスミスの作風を伝えるのに役立てばと、あくまでそういう意図です。
不毛なジャンル論争には興味ありません!
実際、スミスもファンタジー誌に作品を応募などしていたようで、「ファンタジー寄りのSF」ということでイメージは伝えられるのではないでしょうか?
つまりスミスの作風は、ハードSFのように原理や理論の説明を積み上げてリアリティを構築するタイプではなく、あえて説明を省くことで読者の想像力を刺激し力業で読者を異世界に引きずり込むタイプ。
シナリオやストーリーや設定考証ではなくテキストを読ませる。
スミスは奇妙な言語表現や造語で読者の興味を惹くのが持ち味のようで、いわば詩的な作風。
訳のクオリティに左右されるのは翻訳作品全般でいえるが、スミスは特に顕著なのではなかろうか。
機械翻訳で内容がわかるだけでは楽しみは二割程度か(普通の作品が五割程度として)。
もちろん、原文を読んだり他の翻訳を読み比べたりしたわけではないので憶測に過ぎないけれど。
さて、内容について。
あらすじとしては「人類補完機構」という組織を軸にした一万年規模の未来史短編集といったもの。
概要だけ聞くとすごいスケール感にワクワクしたが、読んでて壮大なイメージは特に喚起されない。
「補完機構」には数人の長官がいて、といった組織図の説明はたびたびなされるが、長官以外には誰がいるのか? 下部組織は? そういう描写はほぼない。
一万年近く人類を統治してきた、という設定だったか、しかしそれに見合うスケール感はない。
そういう作風だ、ということなら別にそれでいいのだけれど。
面白いか、といわれれば、まあ面白いけれど、「よくできたラノベ」レベル。
「「なんか変な言動の登場人物が現れて、「なんだこいつは?!」というパターンの話が多い。
あらすじだけでは面白さは伝えられないが、描写については惹き込まれるものはある。
入念に伏線を仕掛けたり、オチでどんでん返したり、そういうテクニカルなことはあんまりしてない。
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