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writer:饗庭淵 2024-11-23(Sat)  
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『第9地区』
writer:饗庭淵 2011-01-23(Sun) レビュー・感想・紹介 
レム曰く、多くのSF作家が様々な地球外生命とのコンタクトを想定しているが、そこにはすでに三つのステレオタイプができている。

①意志疎通ができる場合
②彼らが人類を侵略する場合
③彼らを人類が侵略する場合

この作品の場合①(+③)といったところか。
正確には侵略ではなく迫害ではあるけれど。
めちゃくちゃ面白かったからネタバレ満載で書きたいところではあるけれど、あえて抑えて書く。

エイリアン像はレムの言うステレオタイプに当てはまるような、割とありがちなものだ。
獰猛で、醜く、力が強く、猫缶が大好物。
ほとんど完全に人間で、ただエビの姿をしているだけ。言葉も普通に通じる。
ただ、描写のバランス感覚が見事だ。
彼らのテクノロジーは間違いなく人類より上だ。
人間の技術ではまず再現不可能な兵器の数々を所有している。
にもかかわらず、彼らは人類に支配されている。
こんな強力な武器があるのに? なんで? と、観ていれば疑問に思うはずだ。
それは彼らが地球に不時着してしまったせいによる。
彼らがいくら強い兵器を持っていると言っても、もともと地球に侵略を目的にしていたわけではない。
保有している兵器はせいぜい対人だ。
人類に戦車でも持ち出されたらあっという間に殲滅される。
数と地の利においても圧倒的に人類に劣る。
いくら人類が銃器などの強力な武器を保有していても、補給なしで野獣の住む荒野にでも遭難したらどうしようもないのと同じだ。
ある程度知能のあるチンパンジーなどは面白がって遺留品を漁り拳銃を玩具にするかも知れない。
『第9地区』はちょうどそんな感じの状況だ。

そして、さらに特筆すべきは、この作品の舞台がナイジェリアであるということだ。
宇宙人が地球に侵略しようとしたら、だいたい舞台はアメリカの都会、ニューヨーク当たりが狙われるだろう。
だが、彼らは侵略に来たのではない。
そして、恐るべきはエイリアンより遙かに野蛮なナイジェリアン達よ。

MNU※ VS エイリアン VS ナイジェリアン
(※作中に登場する国際機関。要は白人の体制側の組織)

なんという地獄絵図だ!

また、ドキュメンタリー風の演出も面白い。
徹頭徹尾それで通して欲しかった気もするが、全編通してそれなりにドキュメンタリーっぽいノリなのでまあよしとしよう。
後は少々納得のいかないご都合主義的な展開もいくらか見られたが、それを補ってあまりあるドラマが待っていたので良心的に目を瞑る。
初見でも扱えるエイリアンのインターフェイスまじぱねえ。

ふと思い出せば、『イリーガル・エイリアン』も状況的には近いわね。
特に意味もなくついでにオススメ。



イリーガル・エイリアン (ハヤカワ文庫SF)

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