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『恐怖の総和』
writer:饗庭淵 2011-07-14(Thu) レビュー・感想・紹介 
エリザベスうぜえええええ!!!

これだけでこの小説について語りたかったことの半分は語り尽くしてしまった気がする。
「女を国防に関わらせるな。この小説を通して私が言いたかったのはそれだけです」
って、トム・クランシーが言ったらころっと納得するレベル。
主人公のジャック・ライアンに私的な恨みを持って、ねちねちと妨害したり、がんばったライアンの手柄をなかったことにしたり。
(訳者解説で知ったけど前作からの恨みだったらしい)
「国家安全保障問題担当大統領補佐官」という立場にあって大統領と性的な関係を結び緊急事態において役立つどころか事態を混乱に導く勘違い「助言」を連発。
テロリストは彼女の存在に感謝すべきだし、彼女がいたからこその計画だった。
むしろ彼女なしで計画の成功はあり得たの? そのへんどうなのカティさん?


トム・クランシーの小説を読むのはこれがはじめてだったんだけど、まず驚いたのが描写の異常なまでの詳細さ。
テロリストの核兵器製造シーンの本気っぷりがやばい。
核兵器の動作原理、製造方法、必要な材料・知識・技術なんての事細かに解説。
「この通りにやればマジでつくれちゃうんじゃね?」ってレベルでもう執拗なまでに詳しく。
まあ、この部分は本作のメインだからいい。でもそれだけじゃない。
ライアンを追い詰めるためのネタを探す人の描写とか、浮気疑惑に悩む奥さんとか、あの、そのへんあまり興味ないんでそんなに詳しく書かなくても……。
空間恐怖症の漫画家のように、なにか病的なものを感じる書き込みっぷりだった。

そのため、上巻730p+下巻400p=約1100pが前振り。
一方、事件が起こってからのスピード感とワクワク感は異常。
いやまあ、僕もね、音楽で「前奏が長い」みたいなコメントみて「歌が入るまでを前奏呼ばわりする男の人って……」とか思ってたけど、これは前振り長いと言われても仕方がない。
潜水艦の描写なんか、「事件が起これば本筋に関わってくるんだろうなあ」と予想はできるんだけど、前振りの段階では「なんでこいつらちょこちょこ顔出してくんの?」感が否めない。
潜水艦面子はキャラもあんまり立ってない印象。必要なのはわかるんだけど。キャラ小説でもないのはわかるんだけど。

キャラで言えば、ダガスティーノさん萌え。
ああいうポジションのキャラ好き。
「主な登場人物」にも載ってないような脇キャラだけどな!
というか、エリザベスを的確に批判する人ならそれだけで好きになっちゃいそう。

あとはジャック・ライアンのスーパーヒーローっぷり。
大統領とエリザベスが馬鹿すぎるだけかも知れないけど。
ライアンの言動は常に正しいって感じが気になる。
たまには間違えて……たっけ?
有能な主人公が過労に苦しむのは世界共通、仕事のせいで家庭問題がやばい、ってのは世界共通かも知れないけど、過労すぎてやばいので仕事辞めますって当たり前の判断は、日本だと……どうなん?
「過労でも仕事を続ける男の人かっこいい!」になっちゃうのかなあ。やっぱり。


最後にライアンシリーズ全体で気になるのは。
現実世界をモデルにしながらも大統領なんかは架空の人物だし、毎回架空のとんでもない事件が起こってるんだけど、シリーズ続けていくうちに歴史が現実世界と大きなズレが出てくるんじゃないか、という問題。
『恐怖の総和』でいえば、たとえばリアルでは911後にやばい法律ができたり戦争になったりした。経済的にも大きな打撃を受ける。
似たようなことが起こって、ライアンは前作の帳尻合わせみたいなのに追われたりしないのかしら。
というわけでファンサイトの年表眺めてたら、日米戦争起こるのかwww
やっべえ。超気になる。
いろいろ調べたらシリーズ通しての伏線なんかもあるようで?
というわけで、これからもトム・クランシーは他にも何作か読んでみようと思うます。



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