あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『徳の起源』
writer:饗庭淵 2010-05-29(Sat) レビュー・感想・紹介
「道徳的である」ということは、すなわち「利他的である」ということだ。われわれは人には道徳的であることを求めたがるが、自分ではなかなか道徳的な行動はとらない(中略)善良であれと他人に説教することは人間の強い本能であるが、それに従うことは本能ではない。
そして、他者に道徳的であることを強制するのは「私に奉仕せよ」という意味であり、いうまでもなく利己的な行為である。
「他者に道徳的であることを求めること」と「自身が道徳的であること」は真っ向から矛盾する。
「道徳的である」ということは、要するに損なのだ。
さて、僕自身のことをいえば「道徳は矛盾だらけだ、嘘っぱちだ」などと信じているくちで、積極的に道徳的に生きようなどとは思わないし、同時に他者に道徳的であれと求めることもない(少なくともそう心掛けている)。
しかし一方で、「自分にできないことを他人に求めるな」という道徳も存在するはずだ。
となると、道徳という概念を嫌い、一定の距離をおきたいと願っている僕も、やはりそういった他者の強制に従って生きていることになる。
いくら僕が自らの自由意志で決定した生き方だ、などと主張しても、その根底にはやはり他者からの強制・視線が前提にある。
ならば、最も非道徳的な生き方とは「他者に道徳的であることを求めつつ、自分では一切道徳的であろうとしない」という無責任な説教家、すなわち人間の本能そのままの生き方ではないか。
一番賢いのは、一番得をするのは彼らではないか?
だが、他者に求めつつ自分で実践しないものは、やはりそのことで非難されるだろう。
囚人のジレンマにおいて「しっぺ返し(お返し)」戦略の強さはそこにある。
自らが道徳的であるかのように振る舞うのは、信用を得るための手段でもあるのだ。
ただし、それは彼の同一性が保たれている場合に限られるし、「他者に道徳性を求めることで得られる利益>非難される不利益」であるならば、彼はそれ以降も無責任な説教家を続けるだろう。
実際に道徳的である必要はない、そう見えるよう無知なお人好しを騙せればいいのだ。
現実は囚人のジレンマほど単純ではない。
関係は一対一とはかぎらないし、進化的拘束とその利用、なんでもありだ。
この複雑なゲーム場で、われわれはいかに生きていけばいいのだろう?
「他人をおもいやる遺伝子」ってなんだYO!
この邦題はひどい。
ちなみに原題は"The Origins of Virtue: Human Instincts and the Evolution of Cooperation"
PR
この記事へのコメント
この記事にコメントする
プロフィール
@aebafuti からのツイート
公開中のゲーム作品
『ロリ巨乳の里にて』
パイズリセックスRPG。
『幽獄の14日間』
リソース管理型脱出RPG。
『カリスは影差す迷宮で』
仲間を弱らせて殺す遺跡探索RPG。
『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』
探索ホラー風セクハラゲーム。
『英雄候補者たち』
特に変哲のない短編RPG。
『Merry X'mas you, for your closed world, and you...』
メタメタフィクションノベルゲーム。
『或る魔王軍の遍歴』
「主人公補正」によって哀れにも敗れていくすべての悪役に捧ぐ。
『ドアによる未来』
「どこでもドア」はいかに世界に影響を及ぼし、人類になにをもたらすのか。
パイズリセックスRPG。
『幽獄の14日間』
リソース管理型脱出RPG。
『カリスは影差す迷宮で』
仲間を弱らせて殺す遺跡探索RPG。
『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』
探索ホラー風セクハラゲーム。
『英雄候補者たち』
特に変哲のない短編RPG。
『Merry X'mas you, for your closed world, and you...』
メタメタフィクションノベルゲーム。
公開中の小説作品
「主人公補正」によって哀れにも敗れていくすべての悪役に捧ぐ。
『ドアによる未来』
「どこでもドア」はいかに世界に影響を及ぼし、人類になにをもたらすのか。
新着記事
2021 - 10 - 24
2020 - 12 - 03
2020 - 10 - 03
2020 - 06 - 30
2020 - 04 - 29
カテゴリー
アーカイブ
検索
新着コメント
[02 / 26 by 白蛇]
[02 / 26 by 白蛇]
[05 / 21 by 西 亮二]
[12 / 15 by NONAME]
[07 / 04 by アーミー]
ブックマーク
連絡先
aebafuti★yahoo.co.jp(★を@に変えて送ってください)
カウンター