あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
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『仄暗い水の底から』と『ダークウォーター』――日米ホラー観の違い
writer:饗庭淵 2013-09-27(Fri) レビュー・感想・紹介
『仄暗い水の底から』を観たあと、米国でリメイクされた『ダークウォーター』を観た。
基本的に設定や話の筋は同じだが、やはり両国間の文化差は露骨に現れていた。
両者の違いがいろいろ面白かったのでまとめてみる。
ネタバレ注意。
・娘の親権を争う離婚調停中の夫
日本版では個別に調停員と面接していたが、米国版では二人が同席し、面と向かって言い争いをしている。
序盤からさっそく文化差や司法制度の差が現れてきた。
日本版では両者間でほとんどコミュニケーションがとれておらず、夫はただ険悪な存在として描かれる。
米国版では「娘にとってはやはり父親」という風に描かれ、主人公の方から和解案まで出される。(この映画にかぎったことではないが、米国映画やドラマの夫婦喧嘩は互いにハッキリものを言うので観ていて気持ちがよい)
また、米国版では作中で起こる異常な現象について、「夫が悪ガキに頼んで嫌がらせをしているのではないか」という合理的な疑惑が浮上する。
主人公を精神的に追い詰める存在というのは同じだが、日本版が勝手に追い詰められるのに対し、米国版ではここまでしないと追い詰められてくれない。
・主人公(母親)のキャラクター
日本版ではいちいち挙動不審であり情緒不安定だったが、米国版ではやはりというか毅然とした態度を見せる。
日本の場合:管理人に抗議→不動産会社に連絡→たらい回し→泣き寝入り
米国の場合:管理人に抗議→不動産会社に連絡→たらい回し→もう一度管理人に抗議→追い返される→もう一度不動産会社に連絡→管理人ついに重い腰を上げる
水漏れ見て管理人に抗議してたらい回しにされる、という展開そのものは全く同じなのに態度が毅然としているため印象が全然違う。
日本版では弁護士を介さなければ解決できなかった住居問題を米国版では自力で解決してしまう。つまり、「味方が誰もいない」というような心細さがない。
見ていてストレスはないが、ホラーとしてはそれでいいのか、という気はする。
日本版では泣き寝入りし放置され弁護士の介入までようやく解決した水漏れ問題だが、米国版では何度も自力で解決するもまた水漏れが……といういたちごっこを繰り返す。
米国人を困らせるにはここまでしなくてはならないのだ。
言ってしまえば、米国版では日本版に感じていたイライラ要素が丸ごと撤廃されている。
・幽霊観の違い
米国版の幽霊は、喋る!
米国版の幽霊は、顔がはっきり映る!
米国版の幽霊は、死体が普通に発見される!
・クライマックスのシーン
日本版では、母に見捨てられた美津子を自分に重ね、優しく抱きかかえてそのまま地縛霊となってしまうというそれなりに感動的な演出で締められていた。
米国版では「なにが望みなの?!」と、さながら人質を取った凶悪犯との交渉である。
あくまで自分の娘を守るためにナターシャの母親代わりとなるのだ。
結果としてやはり一緒に地縛霊になってしまうのだが、やはり米国版では母親の死がはっきりと描写される。
「かつて母に見捨てられた主人公」の設定が、日本版ではここぞというシーンで生きてくるのに対し、米国版ではフラッシュバックでたびたび恐怖演出に利用されるもののクライマックスのシーンではまったく意味をなしていない。
「自分の本当の娘を捨てて無関係な子に同情して母親代わりになる」というあたりが米国の感性では共感できなかった、ということか。
・細かい点
原作では「赤いバッグ」にはキティが描かれいる。
日本版の映画では版権の問題か、オリジナルキャラクターに差し替えられていた。
米国版ではまさかの原作に忠実なハローキティ!
このへんは映画制作における姿勢というか管理体制というか、そういったものの差が端的に表れているように思う。
画面演出として、日本版の大きな特徴だった「じめじめした雰囲気」が米国版ではあまり感じられず、雨は降っているが「冷たい雨」という感。
これは単に両国の気候差のせいか。
・で、どっちが面白いの?
映画としての完成度、ストレスのなさは圧倒的に米国版。
ただ、ホラーとしては……と思うが、これは単に日米ホラー観の違いかも知れない。
日本人はぼんやりとした正体不明のものを怖れ、米国人はほとんど実体を持っているようなハッキリした脅威を怖れる。
で、僕自身はどっちを怖ろしく感じたかというと……
正直どっちも大して怖くはなかったです (´・ω・`)
好みをいえば日本版の演出の方がまあ好き。
また、クライマックスの演出も日本版の方がいいかなあとは思うが、あくまで相対的な評価であって、絶対的に評価するならそれっぽい「感動してください」BGMが鬱陶しかった。
日本版から適度にイライラ分だけど摘出した形が個人的にはベストかなあ、と、思いました。
基本的に設定や話の筋は同じだが、やはり両国間の文化差は露骨に現れていた。
両者の違いがいろいろ面白かったのでまとめてみる。
ネタバレ注意。
・娘の親権を争う離婚調停中の夫
日本版では個別に調停員と面接していたが、米国版では二人が同席し、面と向かって言い争いをしている。
序盤からさっそく文化差や司法制度の差が現れてきた。
日本版では両者間でほとんどコミュニケーションがとれておらず、夫はただ険悪な存在として描かれる。
米国版では「娘にとってはやはり父親」という風に描かれ、主人公の方から和解案まで出される。(この映画にかぎったことではないが、米国映画やドラマの夫婦喧嘩は互いにハッキリものを言うので観ていて気持ちがよい)
また、米国版では作中で起こる異常な現象について、「夫が悪ガキに頼んで嫌がらせをしているのではないか」という合理的な疑惑が浮上する。
主人公を精神的に追い詰める存在というのは同じだが、日本版が勝手に追い詰められるのに対し、米国版ではここまでしないと追い詰められてくれない。
・主人公(母親)のキャラクター
日本版ではいちいち挙動不審であり情緒不安定だったが、米国版ではやはりというか毅然とした態度を見せる。
日本の場合:管理人に抗議→不動産会社に連絡→たらい回し→泣き寝入り
米国の場合:管理人に抗議→不動産会社に連絡→たらい回し→もう一度管理人に抗議→追い返される→もう一度不動産会社に連絡→管理人ついに重い腰を上げる
水漏れ見て管理人に抗議してたらい回しにされる、という展開そのものは全く同じなのに態度が毅然としているため印象が全然違う。
日本版では弁護士を介さなければ解決できなかった住居問題を米国版では自力で解決してしまう。つまり、「味方が誰もいない」というような心細さがない。
見ていてストレスはないが、ホラーとしてはそれでいいのか、という気はする。
日本版では泣き寝入りし放置され弁護士の介入までようやく解決した水漏れ問題だが、米国版では何度も自力で解決するもまた水漏れが……といういたちごっこを繰り返す。
米国人を困らせるにはここまでしなくてはならないのだ。
言ってしまえば、米国版では日本版に感じていたイライラ要素が丸ごと撤廃されている。
・幽霊観の違い
米国版の幽霊は、喋る!
米国版の幽霊は、顔がはっきり映る!
米国版の幽霊は、死体が普通に発見される!
・クライマックスのシーン
日本版では、母に見捨てられた美津子を自分に重ね、優しく抱きかかえてそのまま地縛霊となってしまうというそれなりに感動的な演出で締められていた。
米国版では「なにが望みなの?!」と、さながら人質を取った凶悪犯との交渉である。
あくまで自分の娘を守るためにナターシャの母親代わりとなるのだ。
結果としてやはり一緒に地縛霊になってしまうのだが、やはり米国版では母親の死がはっきりと描写される。
「かつて母に見捨てられた主人公」の設定が、日本版ではここぞというシーンで生きてくるのに対し、米国版ではフラッシュバックでたびたび恐怖演出に利用されるもののクライマックスのシーンではまったく意味をなしていない。
「自分の本当の娘を捨てて無関係な子に同情して母親代わりになる」というあたりが米国の感性では共感できなかった、ということか。
・細かい点
原作では「赤いバッグ」にはキティが描かれいる。
日本版の映画では版権の問題か、オリジナルキャラクターに差し替えられていた。
米国版ではまさかの原作に忠実なハローキティ!
このへんは映画制作における姿勢というか管理体制というか、そういったものの差が端的に表れているように思う。
画面演出として、日本版の大きな特徴だった「じめじめした雰囲気」が米国版ではあまり感じられず、雨は降っているが「冷たい雨」という感。
これは単に両国の気候差のせいか。
・で、どっちが面白いの?
映画としての完成度、ストレスのなさは圧倒的に米国版。
ただ、ホラーとしては……と思うが、これは単に日米ホラー観の違いかも知れない。
日本人はぼんやりとした正体不明のものを怖れ、米国人はほとんど実体を持っているようなハッキリした脅威を怖れる。
で、僕自身はどっちを怖ろしく感じたかというと……
正直どっちも大して怖くはなかったです (´・ω・`)
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仲間を弱らせて殺す遺跡探索RPG。
『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』
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『英雄候補者たち』
特に変哲のない短編RPG。
『Merry X'mas you, for your closed world, and you...』
メタメタフィクションノベルゲーム。
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