あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
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『ワンダフル・ライフ』
writer:饗庭淵 2011-05-11(Wed) レビュー・感想・紹介
これはドーキンスと対立するわけだ。
グールドの主張は歴史の偶発性だ。
たとえば白亜紀の巨大隕石衝突によって恐竜は絶滅し、かわりに哺乳類が繁栄した。
しかし、哺乳類の繁栄は必然だったのか?
哺乳類ではなく鳥類が繁栄してもよかったのではないか?
必然であるというためには実際にそうあったという事実だけでは足りない。
哺乳類が実際に繁栄する以前の段階からその結果を予測できなければならない。
だが、哺乳類と鳥類の形態や生理機能、その他さまざまな特性を比較するかぎり、その勝敗は必ずしも決定的ではなかった。
もう一度歴史をやり直したのなら鳥類が繁栄することも十分あり得た。
こうして哺乳類が勝利したからこそ我々は後知恵でふさわしい物語を作り出すことができるが、鳥類が繁栄していた場合も同じようにふさわしい物語を捏造しているだろう。
たとえばベルグマンの法則のように、体重と表面積の比から寒冷地に棲む動物ほど体重が大きいというような、自然法則に根ざした進化も当然あり得る。
だが細目を見るならば歴史は偶然に支配されている。
過去の影を引きずる、という表現もある。
これがグールドの主張だ。
確かに一理ある。
しかし批判は可能だ。
というより、むしろ批判を待ち構えているようにさえ思える。
グールドの主張における問題点、それは偶然であることは証明できないことだ。
必然は証明できても偶然は証明できない。
ただ必然であることが証明できないとき暫定的に偶然と呼ぶだけだ。
『ユーザーイリュージョン』の言葉を借りるなら、「秩序であることは証明できるがランダム性は証明できない」。
ルーレットは一般にランダムの代名詞のように考えられているが、実際には回転板の速度・加速度、玉を弾く速度や角度、重力加速度や空気抵抗などのあらゆる物理的な情報が事前にわかっていればルーレットの結果は原理的に予測できる。
(それがわからないから我々の目にはルーレットはランダムに見える)
『ワンダフル・ライフ』にもあった、科学の反証可能性についてを引用すれば、「仮説というのはまったく間違っているか、おそらく正しいか」の二択だ。
グールドの歴史の偶発性という考え方はどっちつかずではないか。
「まったく間違っている」と証明されるまで「おそらく正しい」。
積極的に「おそらく正しい」と主張するのではなく、その態度は消極的だ。
つまり反証のしようがないのだ。
おそらくこれは彼自身も自覚している矛盾だろう。
無矛盾であるよりは議論を引き起こすことを彼は選択した。多分。
グールドの主張は警告としては意義深いが、少々悪魔の証明のきらいがある。
と、彼の主張にはいくらか批判はあるが、本書で取り上げる歴史科学や古生物学の方法、バージェス動物群の異質さなどは非常に興味深く、一読に値する。
また、科学者の姿を神格化もせず、しかし貶めもしない彼の態度は素直に評価できる(ドーキンスは少々科学者を神格化するきらいがある)。
上下逆さまに復元されたハルキゲニアかわいい!
『ドーキンスVSグールド』と併せて読めばバランスがとれるだろう。
グールドの主張は歴史の偶発性だ。
たとえば白亜紀の巨大隕石衝突によって恐竜は絶滅し、かわりに哺乳類が繁栄した。
しかし、哺乳類の繁栄は必然だったのか?
哺乳類ではなく鳥類が繁栄してもよかったのではないか?
必然であるというためには実際にそうあったという事実だけでは足りない。
哺乳類が実際に繁栄する以前の段階からその結果を予測できなければならない。
だが、哺乳類と鳥類の形態や生理機能、その他さまざまな特性を比較するかぎり、その勝敗は必ずしも決定的ではなかった。
もう一度歴史をやり直したのなら鳥類が繁栄することも十分あり得た。
こうして哺乳類が勝利したからこそ我々は後知恵でふさわしい物語を作り出すことができるが、鳥類が繁栄していた場合も同じようにふさわしい物語を捏造しているだろう。
たとえばベルグマンの法則のように、体重と表面積の比から寒冷地に棲む動物ほど体重が大きいというような、自然法則に根ざした進化も当然あり得る。
だが細目を見るならば歴史は偶然に支配されている。
過去の影を引きずる、という表現もある。
これがグールドの主張だ。
確かに一理ある。
しかし批判は可能だ。
というより、むしろ批判を待ち構えているようにさえ思える。
グールドの主張における問題点、それは偶然であることは証明できないことだ。
必然は証明できても偶然は証明できない。
ただ必然であることが証明できないとき暫定的に偶然と呼ぶだけだ。
『ユーザーイリュージョン』の言葉を借りるなら、「秩序であることは証明できるがランダム性は証明できない」。
ルーレットは一般にランダムの代名詞のように考えられているが、実際には回転板の速度・加速度、玉を弾く速度や角度、重力加速度や空気抵抗などのあらゆる物理的な情報が事前にわかっていればルーレットの結果は原理的に予測できる。
(それがわからないから我々の目にはルーレットはランダムに見える)
『ワンダフル・ライフ』にもあった、科学の反証可能性についてを引用すれば、「仮説というのはまったく間違っているか、おそらく正しいか」の二択だ。
グールドの歴史の偶発性という考え方はどっちつかずではないか。
「まったく間違っている」と証明されるまで「おそらく正しい」。
積極的に「おそらく正しい」と主張するのではなく、その態度は消極的だ。
つまり反証のしようがないのだ。
おそらくこれは彼自身も自覚している矛盾だろう。
無矛盾であるよりは議論を引き起こすことを彼は選択した。多分。
グールドの主張は警告としては意義深いが、少々悪魔の証明のきらいがある。
と、彼の主張にはいくらか批判はあるが、本書で取り上げる歴史科学や古生物学の方法、バージェス動物群の異質さなどは非常に興味深く、一読に値する。
また、科学者の姿を神格化もせず、しかし貶めもしない彼の態度は素直に評価できる(ドーキンスは少々科学者を神格化するきらいがある)。
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