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『フレームシフト』
writer:饗庭淵 2011-05-13(Fri) レビュー・感想・紹介 
ソウヤーは『イリガール・エイリアン』でめっちゃ感動して『スタープレックス』で「あー、こんなもんか」ってなって、本作は「まあよくできてるんじゃない?」という印象。
ずば抜けて面白いわけではないけど、安定感のある外れのない作家なんじゃないかと思う。
いや、『イリガール・エイリアン』はめっちゃ面白いけど。名作だけど。
『スタープレックス』はスケールのわりに想像力が貧困なのよね。
驚くようなアイデアもあるにはあるけど。


閑話休題。
本作は、SFミステリというより解説にもあるように最新の科学知識を取り入れたミステリって感じで、SF要素は少ない。
僕としてはSF目当てで手に取ったのでちょっと残念ではあった。
ミステリにはあんまり興味ないし。
でも、保険会社の汚いやり方とか興味深いネタはちらほら。
「ハンチントン病」についても本作ではじめて知ったが、やばい病気もあるものだ。
優性遺伝性の不治致死病とかどんだけやねんと思ったけど、発症が35歳~50歳だから気づかずセックスして50%の確率で子に伝わり淘汰を免れる仕組みらしい。
SF要素はあんまない、といっても分子生物学とか遺伝学あたりはあんま詳しくないから単純に知識として新鮮だった。
というわけで、個人的には読む価値はあった。

ミステリとして評価するなら、あまりミステリを読んでいない僕からしてもそこまで斬新なネタやトリックがあるわけでもないように思えた。
読んでるうちはそれなりにハラハラドキドキするけどね。
出来はいいけど「ミステリ好きならこれは読め!」ってほどでもないかな。

ナチを出したのは遺伝子差別ネタで悪役ならナチだろっていう単純な連想なのかしら。
悪役の思考や所業が極端すぎる気がした。
「差別のない社会を!」みたいなオチにはなるけど「ナチはマジキチ」という偏見を前提にしてるのはどうなの。


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