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『インセプション』観てきた
writer:饗庭淵 2010-08-20(Fri) レビュー・感想・紹介 
※以下はネタバレを多大に含んだ感想となっています。ご注意ください。


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どっちだよ!!

そうです。ラストの話です。
夢に囚われたままなのか、現実に帰って来れたのか。
コマが揺れてたから現実でいいんじゃないかなあと思うけど、それだとあんまり面白くない。
というわけで、現実には帰ってきたけど、ラストのシーンはもう一度眠らされて見せられている「報酬として支払われた夢」説を提唱。
「犯罪歴の抹消? そんなんできるわけないじゃん」って感じで、サイトーさんが見せてる夢なんじゃないかってこと。
いや、無理があるか。こういうオチならブラックで好みだけど。
それだとやってることは「用が済んだから殺す」のと変わらないし。
とはいえ、生きていてもコブはもう夢スパイ業はしないようだし。
いやいや、企業の信用に関わるか。
でも犯罪歴抹消とか公にできないし……まあ、夢スパイ業がそもそも犯罪だからいいのか。

なんにせよ、説得力のある結論を出すためにはもう一度くらい観ないといけないんだろうけど、そんな見え透いた策略には引っかかりません><
DVDが出たらレンタルで観るかなあ?


もう一捻りどんでん返しがあるかと思ってたけど、割とストレートに終わって逆に驚いた。
サイトーさんにはなにか裏があると思ったんだけど、フィッシャー社を潰したい理由は普通にライバル会社だからってだけなのか。
「御曹司インセプション編」が終わったらてっきり「その裏に隠されていた陰謀のネタばらし編」がはじまるものと思っていたのだけれど、コブの過去に決着をつけてめでたしめでたしでした。
あと、夢を題材にした映画なら必ずあるだろうと身構えていた観客騙しがあまりなかったね?
「今までのは実はぜんぶ夢だったんだよ!」っていう、つまりは『トータルリコール』みたいな。
難解な映画という評価を受けてるみたいだけど、夢と現実で混乱するシーンはなかったので、素直な映画だったと思いますよ。ラスト以外。

面白かったシーンとしては、やはり無重力シーン。
格闘もそうなんだけど、みんなを紐でまとめて運んでるシーンにはちょっと笑った。
いわゆるシリアスな笑いというやつじゃないですか?
人間を荷物のように運んでるのが画的に面白かった。
あと、「父との和解」という感動的っぽいシーンが実は茶番というあたり。
ロバートはガチで感動してるんだけど、すべては企業の崩壊のために仕組まれた茶番だもんね。
茶番とわかりつつちょっと「うるっ」となっちゃうあたりが憎い。
これには『ワルキューレ』と似た面白さを感じた。
ヒトラー暗殺という絶対に失敗する計画を観客が笑いを堪えながら見守る映画。
本人はくそ真面目なのにその実は茶番っていう構図は結構好き。

あと気になった点は、夢の中とはいえストームトルーパー効果がすぎること。
「夢の中にもルールがある」ってのが本作の持ち味らしいんだけど、このへんはどういうことなの?
夢の世界における物理法則ってのは対象に夢と気づかれないためだけにあるんけ?
夢主の思い込みや想像力に依拠?
アリアドネがやってたみたいに夢の世界を自在に変形させて戦うみたいなアクション観たかったけど、そういうのやりすぎると夢が崩壊しちゃう?
夢ってもっと破天荒で荒唐無稽なのに気づかないってのが面白いと思うのだけれど。
しかし明晰夢ってのもあるから、訓練してる人だとバレることもあるのかな。僕もたまに見る。
そうなると、なぜロバートが訓練を受けてることを想定できなかったのかというのが疑問として残る。

ともかく、錯覚に代表されるように人間の脳内認識は現実をそのまま切り取ったものではない。
具体的にはちょっと難しいけど、そんな感じの「夢の中」っぽさが観たかったかな。
「なんでもあり」だと緊張感が損なわれるから云々っていうのはその通りだと思うけど、やっぱり「せっかく夢なんだから」とは思う。
上の階層を影響を受けて無重力になったり、階層によって時間が違うみたいな表現は面白かったけれども。
っと、ここまで書いて思い返してみれば、街の中で列車が走ってたり、金庫の中が病室だったり、廃墟のビル群が崩れ落ちてたり夢っぽい表現はいくらでもあった。
にもかかわらずこういう感想が漏れてしまったのはアクションシーンがほとんど普通の銃撃戦だったせいかな、やっぱり。


くそう。感想書いてるうちにもう一度観たくなってきたぞ。
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