あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
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架空レビュー:『めりくり!』
writer:饗庭淵 2010-02-11(Thu) メリクリ
『Merry X'mas you, for your closed world, and you...』の作中で演じられようとしている架空シナリオ『めりくり!』がノベルゲームとして実在していたら、という仮定でレビューを書きます。
『めりくり!』をリアルでつくるのが一番わかりやすいのですが、さすがに無理なので架空レビューで補完します。
作中で主人公が言ってることと被りますが、レビューという形式でないと語りにくいところもあるので。
また「本来」だったらどうあっていたか、という点も含めて。
・キャラ
ヒロインは5人ほどいるが、全員同じ顔に見えるのは気のせいだろうか?
やはり髪の色で判断するしかないのだろう。
かろうじて表情でキャラの描き分けができているといえなくもないが。
あるいは「はわはわ」や「ほえ」といった口癖での区別か。
ところで、明らかに無理があるにもかかわらず語尾に「なの」や「ですの」などとつけたがるのはいったいなんなのだろうか。
まるでスクリプトで台詞を変換したかのような徹底ぶりだ。
だが、麗子に関してはときどき口調が普通になる。
これは作者のミスか、あるいはやはり無理があると理性が働いたのか。
また、雪絵と美亜にはいくらか見せ場はあったが、楓と麗子はそもそもの存在意義に首を傾げる。
個別ルートですらとってつけたようなシナリオで、ちゃんとプレイしたはずなのにほとんど内容を覚えていない。
頭数を揃えるためだけのキャラだったと解釈するほかない。
どのキャラが一番好きかと聞かれても、総じて魅力がないので難しいところだ。
・絵
まず、制服がどうなってるのか。
機能的にも装飾的にも意味不明なパーツが多すぎる。
肩パットのようなものもそうだし、背中についてる巨大リボンもそうだ。
裾の切れ目のようなものは構造的に理解できない。
実際に見てみればわかりやすいが、どう着ているのか、どう作られたのかまったく想像がつかない。
スカートが短すぎる点も挙げるべきだが、それより立体的な解釈が問題だ。
服の裾はフカン、スカートはアオリ、タイツはフカンのようなラインを描いている。
要するにペラペラした紙のように平面的なのだ。
キャラの顔に関してもそうで、横を向いているのか正面を向いているのかわからない。
すなわち不可能図形、あるいはキュビズム。
ある意味で芸術的と評するべきなのだろうか。
特になのはのパンチラCGには最高の狂気を感じた。
首が180℃以上回転しているし、ローツインのうち一本が消滅している。
後ろ姿を描きつつ顔の表情も描きたい、それを一枚絵で表現するとああなるのだろう。
他にも様々なCGがあるが、空中に顔が固定されていて、それに合わせて身体が回転しているようにも見える。
人体デッサンなどくそくらえだ。
そして、なのはと楓が並ぶ弁当のCG。
あまりに同じ顔すぎて悶絶してしまった。
不気味さの演出が目的なら実に成功している。
・シナリオ
タイトルにあるよう「クリスマス」がテーマであるはずが、なぜか日本神話。
そしてあまりの超展開に笑ってしまった。
主人公はスサノヲの生まれ変わりであり、雪絵はアマテラスの生まれ変わりというのだ!
(なぜかツクヨミの存在は完全に無視されている)
作者も申し訳程度に資料を調べているようだが、「日本神話らしさ」はほとんど出ていない。
これには敵が「悪魔」と呼ばれている点が大きい。
ヒロインに「悪魔」が取り憑いているかもしれないといった話はいかにもキリスト教的だ。
そのうえ、最後まで「悪魔」の正体はわからなかった。
しかし、作中で「正体不明の存在」として描かれているわけではなく、どうやら登場人物的には自明の存在らしい。
(ヴィジュアルでは悪魔の頭が8つあったが、ヤマタノオロチのつもりだったのだろうか?)
また、話の展開が早すぎるのか、全然ついていけなかった。
たとえば、出会って間もない美亜が、実は悪魔に取り憑かれているらしいという事実を受けて主人公は激しく葛藤するのだが、プレイヤーとしてはまだ美亜に感情移入できていないし、悪魔は殺さなければならないという前提もわからない。
そもそも本当に悪魔に憑かれているのかも判断材料がないし、悪魔に憑かれているというのがどういう状況なのかもわからない。
どうなるものかと思っていたが、「実はそんなことなかった」というオチがつき、主人公が普通に悪魔を斃してそれでお終い。
この展開には疑問符が脳内で踊り狂った。
今までの描写と様々な矛盾が生じるのだが、そのあたりの補完もなし。
中盤のクライマックスに当たる悪魔との戦いも、なぜ悪魔が主人公を狙っていたかもわからないし、なぜ主人公が悪魔を斃さねばならなかったかも説明がないためまるで感情移入できない。
あとは、私の頭が悪いせいなのか、よく理解できなかったのが過去の時系列。
要するに主人公のミラクルパワーで強引に辻褄合わせがなされたということでよいのか。
なのはや楓との付き合いもすべて嘘だったということになるからある意味残酷のようだが、そのあたりの葛藤はまったくない。
このことにこそ主人公はもっと思い悩むべきではないだろうか。
もう一つ気になったのは、主人公には先輩と後輩がいるのだから、学年は2年で間違いないだろう。
なら、雪絵先輩は3学年のはずだ。そして、作中の時期はクリスマス前。
常識的に考えて受験で忙しいはずだが、にもかかわらず生徒会長。
これもミラクルパワーで解決か?
しかし、雪絵が手も足も出なかった悪魔を簡単に斃した主人公が雪絵にいとも簡単に拘束されるという力関係の矛盾はいいわけが効かない。
(そういえば主人公の〈力〉は悪魔との戦い以降どうなったのだろう)
さて、日本神話やスサノヲやアマテラス、あるいは生まれ変わりや前世などといった設定は日曜日のデートのときにようやく明言されるわけだが、察するにこの意味不明な設定は、雪絵に「上代より愛している」という台詞を言わせたがったかためのものでないかと思う。
タイミング的にもそうだし、他にはあまりに設定を活かし切れていないからだ。
(いきなり「上代より愛している」などと言われてもまったく説得力がないのも問題だが)
・総評
なにからなにまでひどい作品だった。
ツッコミどころが多すぎるので、これでもすべてはツッコミ切れていない。
この作品にはある種の言い知れぬ恐怖を感じたが、一番怖かったのは、作中の学校に5人のヒロインと主人公の6人しか人間が存在しないかのように感じることだ。
教師や警察、両親などといった大人は根こそぎ排除されている。
台詞としてのモブなら多少は登場しているが、まったく存在感がない。
(「友人」などと名前が振られているのが実におそろしい)
具体的には、作中の15日に楓が授業中に突然エロゲを取り出す(しかも主人公に別のお遣い用に渡した金で購入)シーンなどは象徴的だろう。
主人公もなのはも相応の反応を見せるが周りの目をまったく気にしていないのである。
まるで、はじめからそんなものなど存在しないかのように。
正直なところプレイには大きな苦痛が伴ったが、レビューするからには最後までやるのが一応のけじめだろうとエンディングまでは観た。
ボロクソにレビューをしなければ気持ちが悪くて仕方なかったからだ。
エンディングは、個別ヒロインエンドとハーレムエンドの計6つのマルチエンディングであり、どれも「愛」と「幸福」による決着を見ている。
「ハッキリ言って、今の僕は幸せだ」という台詞が非常に気持ちが悪かったのを覚えている。
思わず「幸福とはなんなのか」という哲学的命題を(否定的な意味で)考えさせられてしまった。
全体として狂気に支配された作品だったが、作者はこれを「普通」だと思っているのだろうか?
個人的にはネタであると信じたいところであるが……
『めりくり!』をリアルでつくるのが一番わかりやすいのですが、さすがに無理なので架空レビューで補完します。
作中で主人公が言ってることと被りますが、レビューという形式でないと語りにくいところもあるので。
また「本来」だったらどうあっていたか、という点も含めて。
・キャラ
ヒロインは5人ほどいるが、全員同じ顔に見えるのは気のせいだろうか?
やはり髪の色で判断するしかないのだろう。
かろうじて表情でキャラの描き分けができているといえなくもないが。
あるいは「はわはわ」や「ほえ」といった口癖での区別か。
ところで、明らかに無理があるにもかかわらず語尾に「なの」や「ですの」などとつけたがるのはいったいなんなのだろうか。
まるでスクリプトで台詞を変換したかのような徹底ぶりだ。
だが、麗子に関してはときどき口調が普通になる。
これは作者のミスか、あるいはやはり無理があると理性が働いたのか。
また、雪絵と美亜にはいくらか見せ場はあったが、楓と麗子はそもそもの存在意義に首を傾げる。
個別ルートですらとってつけたようなシナリオで、ちゃんとプレイしたはずなのにほとんど内容を覚えていない。
頭数を揃えるためだけのキャラだったと解釈するほかない。
どのキャラが一番好きかと聞かれても、総じて魅力がないので難しいところだ。
・絵
まず、制服がどうなってるのか。
機能的にも装飾的にも意味不明なパーツが多すぎる。
肩パットのようなものもそうだし、背中についてる巨大リボンもそうだ。
裾の切れ目のようなものは構造的に理解できない。
実際に見てみればわかりやすいが、どう着ているのか、どう作られたのかまったく想像がつかない。
スカートが短すぎる点も挙げるべきだが、それより立体的な解釈が問題だ。
服の裾はフカン、スカートはアオリ、タイツはフカンのようなラインを描いている。
要するにペラペラした紙のように平面的なのだ。
キャラの顔に関してもそうで、横を向いているのか正面を向いているのかわからない。
すなわち不可能図形、あるいはキュビズム。
ある意味で芸術的と評するべきなのだろうか。
特になのはのパンチラCGには最高の狂気を感じた。
首が180℃以上回転しているし、ローツインのうち一本が消滅している。
後ろ姿を描きつつ顔の表情も描きたい、それを一枚絵で表現するとああなるのだろう。
他にも様々なCGがあるが、空中に顔が固定されていて、それに合わせて身体が回転しているようにも見える。
人体デッサンなどくそくらえだ。
そして、なのはと楓が並ぶ弁当のCG。
あまりに同じ顔すぎて悶絶してしまった。
不気味さの演出が目的なら実に成功している。
・シナリオ
タイトルにあるよう「クリスマス」がテーマであるはずが、なぜか日本神話。
そしてあまりの超展開に笑ってしまった。
主人公はスサノヲの生まれ変わりであり、雪絵はアマテラスの生まれ変わりというのだ!
(なぜかツクヨミの存在は完全に無視されている)
作者も申し訳程度に資料を調べているようだが、「日本神話らしさ」はほとんど出ていない。
これには敵が「悪魔」と呼ばれている点が大きい。
ヒロインに「悪魔」が取り憑いているかもしれないといった話はいかにもキリスト教的だ。
そのうえ、最後まで「悪魔」の正体はわからなかった。
しかし、作中で「正体不明の存在」として描かれているわけではなく、どうやら登場人物的には自明の存在らしい。
(ヴィジュアルでは悪魔の頭が8つあったが、ヤマタノオロチのつもりだったのだろうか?)
また、話の展開が早すぎるのか、全然ついていけなかった。
たとえば、出会って間もない美亜が、実は悪魔に取り憑かれているらしいという事実を受けて主人公は激しく葛藤するのだが、プレイヤーとしてはまだ美亜に感情移入できていないし、悪魔は殺さなければならないという前提もわからない。
そもそも本当に悪魔に憑かれているのかも判断材料がないし、悪魔に憑かれているというのがどういう状況なのかもわからない。
どうなるものかと思っていたが、「実はそんなことなかった」というオチがつき、主人公が普通に悪魔を斃してそれでお終い。
この展開には疑問符が脳内で踊り狂った。
今までの描写と様々な矛盾が生じるのだが、そのあたりの補完もなし。
中盤のクライマックスに当たる悪魔との戦いも、なぜ悪魔が主人公を狙っていたかもわからないし、なぜ主人公が悪魔を斃さねばならなかったかも説明がないためまるで感情移入できない。
あとは、私の頭が悪いせいなのか、よく理解できなかったのが過去の時系列。
要するに主人公のミラクルパワーで強引に辻褄合わせがなされたということでよいのか。
なのはや楓との付き合いもすべて嘘だったということになるからある意味残酷のようだが、そのあたりの葛藤はまったくない。
このことにこそ主人公はもっと思い悩むべきではないだろうか。
もう一つ気になったのは、主人公には先輩と後輩がいるのだから、学年は2年で間違いないだろう。
なら、雪絵先輩は3学年のはずだ。そして、作中の時期はクリスマス前。
常識的に考えて受験で忙しいはずだが、にもかかわらず生徒会長。
これもミラクルパワーで解決か?
しかし、雪絵が手も足も出なかった悪魔を簡単に斃した主人公が雪絵にいとも簡単に拘束されるという力関係の矛盾はいいわけが効かない。
(そういえば主人公の〈力〉は悪魔との戦い以降どうなったのだろう)
さて、日本神話やスサノヲやアマテラス、あるいは生まれ変わりや前世などといった設定は日曜日のデートのときにようやく明言されるわけだが、察するにこの意味不明な設定は、雪絵に「上代より愛している」という台詞を言わせたがったかためのものでないかと思う。
タイミング的にもそうだし、他にはあまりに設定を活かし切れていないからだ。
(いきなり「上代より愛している」などと言われてもまったく説得力がないのも問題だが)
・総評
なにからなにまでひどい作品だった。
ツッコミどころが多すぎるので、これでもすべてはツッコミ切れていない。
この作品にはある種の言い知れぬ恐怖を感じたが、一番怖かったのは、作中の学校に5人のヒロインと主人公の6人しか人間が存在しないかのように感じることだ。
教師や警察、両親などといった大人は根こそぎ排除されている。
台詞としてのモブなら多少は登場しているが、まったく存在感がない。
(「友人」などと名前が振られているのが実におそろしい)
具体的には、作中の15日に楓が授業中に突然エロゲを取り出す(しかも主人公に別のお遣い用に渡した金で購入)シーンなどは象徴的だろう。
主人公もなのはも相応の反応を見せるが周りの目をまったく気にしていないのである。
まるで、はじめからそんなものなど存在しないかのように。
正直なところプレイには大きな苦痛が伴ったが、レビューするからには最後までやるのが一応のけじめだろうとエンディングまでは観た。
ボロクソにレビューをしなければ気持ちが悪くて仕方なかったからだ。
エンディングは、個別ヒロインエンドとハーレムエンドの計6つのマルチエンディングであり、どれも「愛」と「幸福」による決着を見ている。
「ハッキリ言って、今の僕は幸せだ」という台詞が非常に気持ちが悪かったのを覚えている。
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