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あえばさんのブログです。(※ブログタイトルはよろぱさんからいただきました)
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』
writer:饗庭淵 2010-11-20(Sat) レビュー・感想・紹介 
マクスウェルの悪魔、熱力学、エントロピー、情報理論、ゲーテルの不確定性原理、チューリングの停止問題、複雑性などといった概念にはじまり、それらもまた興味深い話ではあるもののいつになったら本題に入るのか、つまりタイトルにある「ユーザーイリュージョン」や「意識」の問題にいつになったら触れるのかとやきもきするのが第一部。
そして第二部になりようやく本題である「意識」の話題に入る。
我々は毎秒1100万ビットの情報を知覚するが、意識に上るのはわずか40ビットにすぎない。
意識は0.5秒遅れる。意識する0.5秒前から脳は始動している。
我々にとって重要なのは、いつ意識したかではなくいつ刺激があったかだ。
などなど、それぞれ単独でも十分に面白い話の数々だが、本書ではそれらを一つの物語として、伏線を巧みに張り巡らせ、見事な構成で読者を引き込む。
これは本書の魅力であり、最悪の欠点でもある。

著者は専門家ではなくいわゆるサイエンスライターにすぎない。
前半の導入部は面白いが後半の結論部に向かうにつれつまらなくなってくる。
材料の紹介が終わり料理が始まると、詩的な類似性に目が眩み、真実などどうでもいいというような態度が目立つ。
宗教やガイア仮説に関する記述はあまりにこじつけがましく科学的な根拠に欠ける。
直線や文明に関する記述も然り。
アンダーソンの言葉を借り「量の増加は質の変化を生む」と述べているにもかかわらず、あらゆるレベルでの事象を本書の主題である意識・無意識に当てはめた詩に酩酊している。
意識や無意識の見解は非常に興味深いが、それらはあくまで個人レベルでの現象にすぎない。
その視野の狭さが環境問題に疑問を投げかけることを妨げる。
彼の詩が矛盾なく完成するためには、いわゆる環境問題が嘘であっては困るからだ。
まさにドーキンスのいう「悪い詩」の典型だ。
その最たるものが以下。
「崇高な」という言葉はラテン語に由来しており、「平凡さや単調さを超越した、高尚な」という意味だ。より正確に言えば、「崇高な(sublime)」は「下」を意味する「sub」と「尾根」「敷居」または「戸口や窓の上の横木を意味する「limen」という二つの語から派生している。崇高なるものとは、上限に向かって上がっていくもの、実際は「斜めに上るものだ」。そして、第七章で取り上げた「閾下(subliminal)」と語源の同じくする。心理学では、閾下は意識的自覚の限界未満における知覚を意味する。
これら二つの言葉は単に同じ語源を持つだけでなく、その現象も関連している。崇高な演奏においては、演奏家は意識が管理しているよりはるかに多くの情報を生かしている。名演奏家は(以下略)

これはひどい。

ただ、いかにうぶとは思いつつも、<創発的政治>という楽天的な発想には賛同したい思いに駆られる。もはやそれは科学ではないけれど。
第十一章くらいまでは読むに値するが、それ以降はチラ裏。

ユーザーイリュージョン―意識という幻想

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